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国際離婚の手続き方法や注意点、慰謝料について解説

2022年11月16日ブログ

日本人同士の離婚は、結婚の10倍のパワーを使うともいわれます。
しかし、国際離婚の場合は、理由にもよりますが100倍ものパワーが必要になるかもしれません。
好きな人と結ばれるのはとても幸せですが、壊れるときは辛いものです。

国際離婚となると、言語だけでなく法律や手続きも異なるので、何から手をつければいいか分らないという方も多いかもしれません。
ここでは、外国人と離婚をする際の手続きや注意点を解説していきます。

国際離婚の手続き方法や注意点、慰謝料について解説

国際離婚とは

国際離婚というのは、国籍の異なる夫婦が婚姻関係を解消することです。
例えば、日本人と韓国人の夫婦、ドイツ人とフランス人の夫婦が婚姻関係を解消するのが国際離婚です。

日本人同士が日本において別れを選択するのであれば、「離婚届」を提出するだけで婚姻関係を解消できます。
しかし、国際離婚の場合は「準拠法」という法律に基づいて、手続きをしなければなりません。

どの国の法律が適用されるかはケースバイケースになりますが、日本で離別をする場合には日本の、アメリカならアメリカの法律に従って手続きを行うことで婚姻関係を解消できるのです。

国際離婚の手続き方法

国際離婚の手続き方法は国によって異なるので、ここでは、国際結婚をした方が日本で婚姻関係を解消する場合の手続き方法を紹介します。

日本で離婚する場合

日本における国際離婚の法律は以下のように定められています。

・夫婦の本国法が同一である場合にはその法律が適用される
・共通の本国法がない場合でも夫婦の居住地の法律が同一であればそれが適用される
・いずれの法律も適用されない場合は夫婦にもっとも関係が深い地方の法律が適用される
・夫婦のどちらかが日本に居住地がある日本人の場合は日本の法律が適用される

上記のうち、「日本の法律が適用される」事項に当てはまる場合は、役所から離婚届をもらってきて、必要事項を記入、押印をするという手続きになります。
外国に居住している、夫婦で国籍以外の国に住んでいるなどのケースは、その国の法律による手続きが必要になるので、現地で専門家に相談しましょう。

国際離婚をするときの注意点

国際離婚は、日本人夫婦が日本で別れる場合とは違う点があります。
特に、慰謝料の支払い方や親権などに違いがあるので注意点をチェックしておきましょう。

慰謝料をもらう場合は一括にする

慰謝料をもらう場合は、一括請求をしましょう。
金額によっては分割を求めてくるかもしれませんが、相手が本国に戻ってしまったり所在が分らなくなったりすると、公正証書があっても強制執行できません。

外国で所在が分らない場合、探す費用も膨大になるので慰謝料は一括にするのがベストです。

子どもがいる場合は国籍を確認する

子どもがいる場合、国籍をしっかり確認しておきましょう。
どの国で離別をするのかは関係なく、親権に関しては子どもの国籍の法律が適用されます。

例えば、子どもがアメリカ国籍であればアメリカの法律によって親権が決まります。
日本国籍で調停によって親権者を決める場合は、子どもの希望や経済力、住環境などが考慮されますが、他国は異なるため親権者になれないことがあります。

また、パートナーの国で生活をしていて離婚した場合、子どもを連れて日本に帰国したとしても、ハーグ条約(※)によって連れ戻されてしまう可能性があるので注意しましょう。

※ハーグ条約は、夫婦の一方が子どもを連れ去った場合、原則として子どもをもとの国に戻すという条約です。

双方の国で離婚手続きをする必要がある

日本法が準拠法となっている場合、日本で離婚届を提出すれば婚姻関係が解消できます。
しかし、この手続きはあくまでも日本国内のものであって、パートナーの国でも必要な手続きを取らなければ婚姻関係が継続してしまうので注意しましょう。

準拠法は国によって異なるため、場合によっては双方の国でそれぞれに手続きが必要になることがあるので必ず確認をしてください。

国ごとに異なる慰謝料について

ご自身に不貞行為などがなく、相手側に別れる理由がある場合は慰謝料を請求できます。
しかし、国ごとに慰謝料への捉え方が異なるので、日本の感覚で請求することはできません。
例えばアメリカの場合は、不倫相手への慰謝料請求はできませんし、フランスでは理由に関係なく収入の多い方が少ない方に「離婚補償手当」を払うという規定があります。

中国では、浮気による精神的苦痛に対する慰謝料請求はないとされ、ドイツにはそもそも慰謝料の概念がないといわれています。
このように、相手に非があっても必ず慰謝料をもらえるわけではないので、特にご自身が仕事を持っていない、収入源がないという場合は注意してください。

国際離婚をする前に専門家に相談しよう

国際離婚は、日本の法律に則って行うものとは異なる点がたくさんあります。
お相手の国籍や生活している場所によっても手続きが変わるため、専門的な知識がないと手違いが起こったり、必要以上に時間がかかったりすることもあるので注意してください。

婚姻関係の解消はそれだけでも精神的な負担が大きいので、国際離婚のお悩みを抱えている場合は一人で抱え込まず、橋本法務会計事務所へご相談ください。