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遺産相続における現物分割とは?メリットやデメリットを紹介

2022年06月17日ブログ

故人の残した財産が現金だけであれば、法定分通りに相続することができます。
しかし、不動産や有価証券、車などの場合は売却のタイミングによって価値が変わるため、現金に換えて相続をすると法定分の割合よりも少なくなってしまうかもしれません。

現物分割であれば、相続を受けた人が自分のタイミングで売却できるので、トラブルも起こりにくくなります。
ここでは、遺産分割の方法の一つである現物分割について解説していきます。

遺産相続における現物分割とは?メリットやデメリットを紹介

 

遺産相続の現物分割とは?

遺産相続の現物分割は、財産を「そのままの状態」で相続する方法です。
例えば、「預貯金5,000万円」「土地1筆(時価4,000万円)」「自動車(時価200万円)」の遺産がある場合、預貯金を配偶者、土地を長男、自動車を長女というように現物のまま分けるのが現物分割になります。

ただし、土地の場合は分けられるので、長男に時価2,500万円分、長女に1,500万円分ずつ相続することも可能です。

現物分割をするメリット

現物分割には、主に二つのメリットが挙げられます。

相続手続きの手間がかからない

現物分割は、形態や形状を変えずに相続できるので、手間がかからないというメリットがあります。
例えば、土地を現金化する場合、まずは売却を任せる不動産会社を選定したり登記の書類を揃えたりしなければなりません。

また、マージンも払わなくてはいけませんし、売却値も希望通りになるとは限らないので、想定よりも相続の額が下がってしまう可能性があります。
売却をしなければ、スムーズに相続が受けられるので、余計な手間がかからないというのは大きなメリットです。

トラブルが起こりにくい

現金の場合は、誰がいくらもらえるのかが明確になってしまうため、中には文句をいう人もでてくるかもしれません。
また、金額に納得できない場合は親族間でトラブルに発展することもあります。

遺産の分配におけるトラブルは珍しいことではないため、相続の方法によっては家族間や親戚との関係性が壊れてしまいます。

現物であれば、鑑定人でない限り評価額を算出することはありません。
そのため、誰が一番得をするのかは目に見えないので、トラブルのリスクを回避できるというメリットもあります。

現物分割をするデメリット

相続には何かと手間がかかりますし、税金の申告期限も決まっているので、スムーズな手続きができる現物分割はおすすめの相続方法といえます。
ただし、デメリットもあるのでチェックしておきましょう。

現物によっては不公平感がある

トラブルは起こりにくいのですが、現物によっては不公平感があるというのがデメリットです。
例えば、土地を譲り受ける人と車を譲り受ける人がいる場合、車をもらう人は不満を感じる可能性があります。

基本的に、法定相続分に則って決めるので、現物もその分配に見合ったものになります。
とはいえ、明らかに価値に大きな差があるものは、公平に分割できないためしこりが残ってしまうかもしれません。

分割すると価値が下がることがある

土地の場合、分割をすると価値が下がることがあるのがデメリットです。
広い土地であれば分筆をしても問題ないかもしれませんが、分筆後に平均的な大きさを下回ってしまうと、土地活用が難しくなるため価値が下がってしまいます。

また、土地が不整形だと全体の価値が下落するので、事前に評価額を確認しておくことをおすすめします。

現物分割に向いているケースとは

現物分割というのは、状況によって向いている場合と向いてない場合があります。
ここでは、向いているケースを紹介するので参考にしてみてください。

多様な遺産がある場合

遺産が多様であれば、相続人がそれぞれに納得できる財産を譲り受けられるので現物分割に向いています。

例えば、同等の価値がある土地が三つある、資産価値の高い株式銘柄が四つある、車が二台あるなど多種多様な遺産がある場合は、相続人同士であっても話し合いを進めやすくなります。

預貯金で調整できる場合

不動産や株式だけでなく、預貯金もあれば相続する額を調整できるので、現物分割でも不公平感がありません。

例えば、3,000万円の預貯金と3,000万円の不動産、2,000万円の株式を2人の相続人が譲り受ける場合、一人は3,000万円の不動産と1,000万円の預貯金、もう一人は2,000万円分の株式と2,000万円の預貯金というように公平に分けることができます。

現物分割を上手に活用して相続トラブルを回避しよう

法的に有効な遺言書があれば、相続も丸く収めることができます。
しかし、遺言書がない場合は相続人同士で話し合わなければいけません。
その場合、全員が納得できるまでに時間がかかりますし、内容によっては家族間で揉めてしまうこともあります。

現物分割は不公平になりやすいと思うかもしれませんが、ものによっては価値が上がる可能性もありますし、手続きも簡単なので相続もスムーズに進みます。
上手に活用すれば、トラブルになるリスクも減らせるので、現物分割を検討している場合は橋本法務会計事務所へご相談ください。