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相続財産法人の手続き方法は?法人化するときの注意点も紹介

2023年01月23日ブログ

被相続人が遺言書を残していない場合、法定相続人同士で話し合って遺産を分け合う「遺産分割」を行います。
しかし、法定相続人がいない場合は分割できません。
また、法定相続人がいたとしても、相続を放棄されてしまうというケースもあります。

このように、遺産を相続できる人がまったくいないケースでは、相続財産法人という手続きをします。
ここでは、相続人がいない場合に行われる手続きの「相続財産法人」について、解説していきます。

相続財産法人の手続き方法は?法人化するときの注意点も紹介

相続財産法人とは

相続財産法人というのは、被相続人に法定相続人がいない場合、もしくは相続を放棄された場合に財産を法人化することをいいます。

例えば、故人の親兄弟、実子はもちろん第二親族や第三親族などがおらず、天涯孤独の身だった場合、残された遺産を相続することができません。
遺産は放置できないので、法人化することでまとめて管理をします。
これが「相続財産法人」です。

これは民法951条で定められていることで、相続先が不明で所有者がいない物になってしまうのを避けるため法人として擬制します。
擬制ではありますが、相続財産法人は法律上成立するので、相続財産管理人が管理することになります。

相続財産管理人について

相続人がいない財産は国の物になりますが、手続きをせずに国に寄与されるわけではありません。
かといって、財産は自分で手続きをすることもないので、人間が管理をします。
この管理業務を行うのが「相続財産管理人」です。

相続財産管理人は、清算や最終的に国に帰属させるまでの業務を任されます。
相続財産管理人は、利害関係者もしくは検察官が家庭裁判所に申立てをすることで選任されます。

相続財産法人化の手続き方法

「法人化される」といっても、いまいちどのようなものになるのか分らないという方も多いのではないでしょうか。
法人化というと会社の設立をイメージするかもしれませんが、相続財産の場合は国に帰属するまでの手続きとなります。

ここでは、どのように手続きをするのか、時系列で解説します。

相続財産管理人の選任

相続財産が法人とみなされた場合、最初は相続財産管理人の選任を行います。
選任請求をするのは、相続債権者や受遺者など利害関係がある人か検察官になります。
家庭裁判所が管理人を選任したら公告されます。

相続債権者や受遺者への弁済請求の申し出

管理人の選任公告後、相続人が2ヵ月以内に判明しなければ、管理人は相続債権者と受遺者に対して弁済請求の申し出をする旨の公告を行います。
公告の期間は2ヵ月以上となっており、相続債権者と受遺者はその間に弁済請求ができます。

相続人を6ヵ月間捜索する

弁済請求申し出期間が満了になっても相続人が見つからない場合は、家庭裁判所に「相続人の捜索の公告」を請求します。
捜索は6ヵ月以上となっており、この間に相続人が見つからなかった場合は、「相続人不在」が確定し、手続きが進んでいきます。

特別縁故者への相続財産分与

相続人が見つからなかったとしても、特別縁故者がいる場合は財産分与の手続きが行われます。
特別縁故者というのは、被相続人の介護や看護をしたり、生計を同じくしていたりした人です。

相続の割合は被相続人への貢献度によって決められますが、分与を受けるには相続人捜索の公告期間満了から3ヵ月以内という期限があります。

共有物の分権は他の共有者に移る

被相続人の財産に共有物(他の相続人と共有している財産)があった場合は、被相続人の持ち分は他の共有者に譲渡されます。
特別縁故者がいる場合は、共有物も分与の対象となるので、特別縁故者への分与が完了しても共有物の持ち分が残っていれば他の共有者への譲渡となります。

残った相続財産は国庫に帰属する

全ての手続きの完了後、処分できなかった財産は国に帰属することになります。
名義変更や登記などの手続きは相続財産管理人が行い、清算事務や管理計算まで完了させたら、家庭裁判所に「管理終了報告書」を提出すれば職務終了となります。

相続財産法人化をするときの注意点

相続財産を法人化した場合、管理をするのは相続財産管理人になるため、第三者が法人化に関して注意することはないといえます。
しかし、どの立場であっても遺産に関わりがある場合は、注意点も知っておきましょう。

相続財産管理人に報酬を払わなければならない

相続財産管理人は、国に帰属するまでの業務を行うので、報酬を払う必要があります。
額は、業務負担の大きさや難易度によって変わりますが、相続財産法人からの支出となるため、財産から報酬分が差し引かれることになります。

ただし、財産の金額が報酬額に満たなかった場合は、選任申立てをした利害関係者に対して予納金の納付が求められる場合があるので、対象となる方は注意しなければなりません。

納税をしなければならない

相続財産法人には、被相続人の納税を行う業務も発生します。
被相続人が亡くなったとしても、その年に所得が合った場合は所得税を払う手続きを行い、相続財産法人から納税することになります。

また、土地や家屋など固定資産がある場合は、固定資産税の支払いもしなければなりません。

財産分与は生前に行っておくのがベスト

相続人がいない場合、遺産は全て第三者によって分配されることになります。
お世話になった人に分配されるのは問題ないかもしれませんが、場合によっては自分の意志に反した分配になる可能性もゼロではありません。

いずれにしても、自分が納得できる相続は自分でしか決められないので、財産分与は生前に行っておくのがベストです。
とはいえ、相続のことに関しては専門的な知識も必要となるので、相続財産法人に関するお悩みは橋本法務会計事務所へご相談ください。